こんにちは、常盤クニオです。
マシュマロという「優しいメッセージだけがやり取りされる、優しいサービス」を使って質問を受け付け始めました。なんて優しい世界…!!!
その中で以前、こんな質問を頂きました。
普段はTwitter上だけで回答しているのですが、イラストのお仕事を新規開拓する上で、様々なツールや方法がありますので、ちょっとまとめてみることにしました。
※あくまでも僕個人の意見です。
ちなみにイラストレーターが営業して仕事を受注するということについて、以前もこういった記事を書きました。
今回はツールにかかわる質問を頂きましたので、今まで使ったSNSやクラウドソーシングサービスについて書いてみたいと思います。
Contents
何をどう使うべきか?
質問内容にちょっと戻って、世の中のツールをどう使っていくか?です。
・過去の受注から振り返る
・まずはSNSをはじめる
・すでに作ってある作品をポートフォリオサイトにアップしておく
・SNSにもそれらを定期的にアップする
・クラウドソーシングサービスで案件に応募
・周りにイラストを必要としている人がいないか探ってみる
・契約内容で問題なければSNSやポートフォリオサイトにも掲載
ざっくりいうとこんな感じでしょうか。
ただし、その前に振り返って考えておくべきこともたくさんあります。
売り込む前に考えるべきこと
すでに受注を受けられていて、定期的にイラストの仕事を受けていきたい、ということですが…売り込みをする前に考えておきたいことがいくつかあります。
受注経路をきちんと振り返る
僕も過去そうだったんですが、質問者さんの仰るような副業などに関係なく、割と受注したときって「わ~い」で終わることが多いんですよね。
おそらくですが、波があると書いていらっしゃるので、そういう時って単発依頼になってしまっていることが多いと思います。もちろん、向こうの都合や制作単価などで「他の人より安いから依頼した」という実情もあるとは思います。
ただどんな場合でも、「向こうがどのような経路で依頼してきたか」をきちんと振り返っておくと、最終的に自分を助けることになるかなと思います。
というのも…
・販売経路の強化
・依頼された理由
・予算感イメージ
・絵柄とニーズとの合致
・制作条件
このあたりを振り返っておくことで、次の戦略に役立てていきます。
特に、販売経路は聞かないことにはわからないことも多いですよね。SNS経由ならなおさらです。
・SNSならどの投稿を見て依頼しようと思ったのか?
・絵柄が気に入ったから?気に入った理由は?
・プロフィールがしっかりしていたから?
・「安く頼んでも受けてくれそう」と思われたのか?
・ざっくりしてそうで条件が甘くても通せそう、と思われてしまった?
ポートフォリオサイトからであれば、当然そちらを強化する。
個人からしか依頼が来ないことが悩みであれば、サイトを法人向けにしてみたりして、こちら側も対法人を強化する、など。
もし継続依頼にならなかったとしても、学びはたくさんあります!
そこで終わらせないことを意識していくと良いと思います。
顧客開拓ではなく、過去の顧客との繋がりを強くする視点も持つ
これ、心理的には難易度高いんですけど…笑
かつて依頼してくださったところが、もし長い期間音信不通であれば、自分から営業連絡してみる、新しい作品を送ってみるなど、何かしらのアクションを起こしてみるのも良いと思います。
逆に、サイトのコラムカットなど「本来は継続できたはずの案件」であれば、「今担当しているイラストレーターはどんな人か?どんなタッチか?」なども探っておくと良いかなと思います。(ちょっと精神的につらいですけどね…!)
ただ、それで自分とは全然違うタッチであれば、「あぁ、イメージと合わなかっただけだな」となりますし、それは誰も悪くないです!笑
自分のタッチに似ているのであれば、画力不足、もしくはたまたま予算が合わなかったのかな…という反省にもつながります。落ち込む必要はないです!
あとは、初回打ち合わせ時に「リアルで会う」ことが可能であれば、それもかなり大切だと思います。もしくは電話やSkypeなど。
メールやSNSよりは確実に印象に残ると思いますし、人柄も見た目の印象や声などで伝わりやすいので仕事も多少しやすい。クライアントさん側がそれを望んでいることもありますよ!
新規顧客開拓をする手段
まずはSNSをはじめてみよう
SNSツールは溢れかえってるので、シンプルに広報的な役割を担うためのツールとして使っている人が多いものを1番に考えたら良いかなと思います。
僕自身、今メインの広報活動の場としていますが、やはりTwitter。それからInstagram。
Twitterの使い方はいろいろな方がすでに知識として様々な記事にまとめてくださっていますので、そういった記事を参考にしていただくとして…
正直なところ、Twitterを含めたSNSで仕事を得る、というのはなかなかハードルが高いなぁと思っています。もっと詳しく言うと、向き不向きがあるかな、ということになるでしょうか。
イラストの仕事を得るという観点で見たときに、僕が思う向いている人というのはファンがつくことで仕事になるタイプの方です。つまり画風や作風そのものにファンが多い、アーティスト寄りでブランディングが確立されているイラストレーターさんです。Twitterでフォロワーさんが増える=ファンが増える、に直結するパターンで、現象としてはInstagramにも似ています。
その一方で、例えば僕であれば相手のニーズによって絵柄を大きく描き分けるという方法を取っています。複数あるタッチの中の1つに潜在的なニーズがあって、そこから仕事が来ることもあるにはあるのですが、爆発力は正直ありませんし、そこまで積み上げていくのに時間はやっぱり物凄くかかります。(もちろん、ファンがつくまでにも時間はかかりますが!)
アイコンや普段上げているイラストがその人(アカウント)の顔になる、というSNSの特徴でもありますが、「この人はこの絵柄!!」というイメージってありますよね。僕のように画風にバラつきがある(ただしそれはそれで武器)場合、若干そういった印象としては多面的なせいで弱くなってしまうかなと思ってます。
自分自身がどんなイラストレーターになりたいか、どんなイラストを描いていきたいか、という意識によるところも大きいですね。
では、なぜSNSを始めるべきなのか?
Twitterは自分の作品をアップして周りの反応を見たり、自分というイラストレーターがいることを世間に知ってもらうための場としては最適だからです。自分がどういうタイプであれ、間違いなくやった方が良いです。やろう。また、ほかのメディアと連携していくためにもTwitterなどのSNSの力は絶対に必要です。SNSはメディアによって使用しているユーザー層にも違いがありますし、リーチできる層は多いほど良いです。
ちなみに、ファンが付いて仕事になるようなタイプは絵柄や作風だけじゃなくてコンテンツそのものが面白いからファンがつく、というのも大事な視点ですね!
作品をポートフォリオサイトにアップ
何は無くともポートフォリオサイト!
サイト全体の大きさ(=ページ数の多さ)によって閲覧数も変わってきますので、「イラストレーターを探している人」に届けるためにも、作った作品や記事が多ければ多いほど検索に引っ掛かりやすくなりますし、リーチできる数は単純に増えていきます。サイトそのものを育てていくイメージですね。
結局これって自分の商品カタログかなと思います。
いつどんなタイミングで「どんな商品を扱ってますか?」と聞かれるかわからない。サイトがあればひとまずどんなタイプのイラストが描けるのかが見られますし、それ以外の部分でも認識してもらいやすい。
別にかっこいいサイトや、ブログ記事がなければいけないわけではないと思います。作品が一覧で見える、画風によって見やすく分かれている、それくらいでも十分だと思います。
ポートフォリオサイトを作るにあたっては、
・Wix(https://ja.wix.com/)
・Tumblr(https://www.tumblr.com/)
・RESUME(https://www.resume.id/)
・Foriio( https://www.foriio.com/ )
・AdobePortfolio(https://portfolio.adobe.com/)
などの無料サービスがありますので、まずはサクッと作ってしまうと良いと思います。
ちなみにTumblrで作るとこんな感じ↓
https://tokiwakunio.tumblr.com/
SNSにもそれらを定期的にアップ
上記の通り、サイトは作品を置くための場所、すなわちカタログですが、結局探してたどり着いて貰う必要があります。そこで、広報活動は自分でしていかなければなりません。
ここで先ほどのSNSの拡散力やリーチ力が威力を発揮してきます。下地づくりも大切です!
正直作品を掲載するだけであればTwitterでもInstagramでも良いのですが、広報機能としてはリツイートもできるTwitterのほうが向いています。
定期的に作品をアップしていき、貯めていきましょう!また、作品アップやお知らせだけだと、ただのしつこいメルマガと何ら変わりません。作品作りの裏側のストーリーなど、そこでしか得られない自分らしい情報も忘れずに。
モックアップを使ってイメージ想起を図る
こちらは余力があれば、ぜひチャレンジしてほしい内容です!
Webだろうが印刷だろうが、ゲームだろうがどんなジャンルでもぜひチャレンジしてみましょう!
そもそもモックアップとは…
”モックアップとは、工業製品の設計・デザイン段階で試作される、外見を実物そっくりに似せて作られた実物大の模型のこと。ソフトウェアやWebサイト、印刷物などのデザインを確認するための試作品のこともこのように呼ばれることがある。”
IT用語辞典/e-wordsより引用
URL:http://e-words.jp/w/モックアップ.html
すなわち、イラストのシーンにおいて言えば、実際にイラストが使用される媒体をイメージしてもらうような写真やCGを作ることを指します。
例えば、「御社の雑誌の雰囲気に合ったイラストが描けます!」と口でたくさん説明するよりも、その雑誌の誌面に自分のイラストを合成した誌面を見せる方が早いよね、ということです。
下記のような女性のイラストがあったとして、 「働く女性向けの雑誌にこのイラスト使ってほしいな…」と思ったとします。
もちろんこのイラストそのものが重要なのですが、「このイラスト、御社の雑誌にぴったりなんですよ!」って言われるよりも…
こんな感じで架空でもいいので、誌面にさきほどのイラストを入れてあげることで雑誌で使えるイラストという説得力が増しますよね。
これをさらに誌面のようなCGで合成すると…
イラストを使って、こんな雰囲気の誌面が表現できる、という説得材料になります。
背景をさらに華やかな雰囲気にしてあげれば…
誌面内容はバラバラですが、こんな雰囲気の表現も可能です。これで一気に説得力が増しました。
「実物っぽさ」も大切なのですが、それ以上にモックアップを作るときに必要なのは何度も書いているように「説得力」だと思います。上記の内容で言えば、商品の世界観や使用されるシーンをきちんと理解している、ということです。
Webやアプリのモックアップであれば、スマホやPCの画面に合成したモックアップを作ればOKですし、ゲーム系も同じくスマホの画面に自分の描いたキャラクターをゲーム画面っぽく合成すればOKだと思います。
オンラインツールではMockup Photosなんかが有名です。手持ちのイラストをアップロードするだけでモックアップが作れちゃいます。様々なデバイスや紙のサイズ、シーンがそろっているので、ある程度はカバーできると思います。
ただ注意したいのは、海外のモックアップサービスですと、紙の規格が違うためA4サイズが無かったり、日本とは違ったサイズの名刺のモックアップしかなかったり…といったことが発生します。
もしPhotoshopをお持ちでしたら、「モックアップ PSD」などでググってみると、Photoshop上で編集可能なモックアップデータもたくさん落ちてますので活用してみましょう~(/・ω・)/
(これもレイヤー上に配置するだけで出来ちゃいます!!)
様々な作品が日々アップされているクリエイターSNS、「Behance」でもモックアップデータを入手できます。「mockup free」などでサイト内検索してみましょう。
なお、利用する場合の注意点ですが、商用利用できない場合もあります。
規約はモックアップデータをダウンロードする前に、自己責任で必ず確認するようにしてくださいね。
クラウドソーシングサービスで案件に応募
そして実際に実績を作りたいのであればこのフェーズも重要です。
これはこれで、サイト内で悪くない条件の仕事を見極めるための経験は必要になってきますが、「未経験でも仕事を得やすい」のが特徴です。
(仕事の経験が前提の案件も多いですが)
主なサービスとしては
・クラウドワークス(https://crowdworks.co.jp/)
・ランサーズ(https://www.lancers.jp/)
・ココナラ(https://coconala.com/)
・スキロッツ(https://www.skillots.com/)
などがありますね。
とにかく毎日やりたい仕事のキーワードで検索して応募しまくる(=作品を作る)ことが重要かなと思います。
周りにイラストを必要としている人はいないか
クラウドソーシングサイトよりもこっちのほうが現実的だと思いますが、普段から「イラストの仕事をしたい」と周りに伝えてますか?
友人に営業活動をしろ!というわけではなく、普段から自分がやりたいことを口に出しておくことはとても大切です。「そういえばアイツ、イラストの仕事やりたがってたな…」と予想外の機会を得ることになるかもしれません。
逆にイラストの仕事を必要としている人は意外と身近にいたりするもので、これも結局の所そういった話を普段からしていなければ、それに気づくこともできません。今すぐに仕事が来るわけではなくても、いずれそういうチャンスが巡ってくるかもしれません。
契約上問題なければ案件は公開
これは駆け出し時の貴重な実績として公開できるか、非常に大切な要素なので、必ず事前に確認するようにしたいところですが…
「SNSやポートフォリオサイトでの公開がOKかどうか」を先方に確認した上で、問題なければどんどん公開しましょう!
内容によってはクライアントの都合で非公開でなければいけない案件もありますので、きちんと確認した上で公開するようにしましょうね。特に最初のうちは、実績を公開することで信頼にも直結しますので、重要な要素です。
実績は制作にかかった時間や、途中経過のフローなど、可能な限り見せちゃってOKだと思います。
実際に依頼したときにどれくらいの時間でどのレベルの成果物が出てくるか、依頼者にとってはかなり気になるポイントです。
(僕も現在鋭意制作中!)
あ、それっぽい内容を確認の前にツイートしたりしちゃうのもアウトですよ!未来のクライアントさんも見ていますので、情報の取り扱いは要注意です。
ということで、すごく簡単な流れですが、ひとつひとつきちんとやろうと思うとかなり時間がかかります。特に最初のうちは、どれもうまくいかないことが多いです。焦らずに少しずつ実践していくのと、自分にあったやり方を探していくことが肝要かなと思います。