東急ハンズの「2018年オリジナル年賀状デザインコンペ」で入賞したイラストです。2014年の時と同じく、全国の東急ハンズやネットショップで販売され、最盛期は売り切れとなるなど、非常に売れ行きも良かったため、思い出に残っているイラストです。
戌年ということでモチーフは「犬」。非常に扱いやすいものでしたが、その一方でありきたりになりすぎないよう、様々な提案を行いました。

実際に2017年~2018年に全国の東急ハンズで販売された年賀状イラスト

2014年バージョンからの反省

前回の作品である「2014年版年賀状イラスト」のあと、自分自身の中で様々な反省点が残りました。

年賀状イラストを作るにあたって、必要となる要素は様々ありますが、その中の一つに「ひとこと添えるスペースを空ける」というものがあります。

年賀状に手書きメッセージは入れない!など、このあたりは人によるとは思いますが、年賀状にはひとこと添えるのが一般的。
2014年版のイラストを見ていただくとわかる通り、世界観を表現するために年賀状全体に模様を配置した結果、文字が書きづらくなってしまいました。

せっかく買って頂いても、メッセージを入れにくいのでは本末転倒では…!?

ということで、2018年版のイラスト構図を作るにあたり、この「空きスペース問題」をもう少し考慮したうえで配置を考えることにしました。

ここでボツ案をご紹介

ポリゴン風イラスト(没)
そのままPIXTAにアップできそうな汎用性高めのイラスト(没)

全部で5種類制作し、10パターン展開しました。
ポリゴン風のイラストは当時すでに「ポリゴン風クリエイティブ」の流行も落ち着いたころで、やや時代に追い付いていなかった感。モチーフにしていた「土佐犬」はカッコ良いですし何より映える!と思ったんですが、ポリゴンにしたことで、そのカッコよさが少し失われた気もします。

ちなみにポリゴンの表面は全部Illustratorのベクターデータです。これを作る労力とインパクトが見合ってません。笑

その一方で、屏風に金箔、門松に青海波という「ザ・王道」を狙った一枚もボツになってしまいました。自分自身でも描き下ろした割に、「素材を寄せ集めて作った感」あるな~…と思っていました。

もう一種類は「戌」という文字を富士山に見立て、漢字を大きく使ったデザインに仕上げようとチャレンジしましたが、そちらもボツ。しかも後からよくよく探してみると、「戌という文字を他の何かに見立てる」という手法は割とよく見かけたので、逆にボツで良かったかもしれません…。

実際に採用されたイラスト

こちらが実際に全国の東急ハンズで販売された年賀状イラストです。

最初の思い付きは「ダックスフントが2018っていう数字になってたら面白いかも…?」からだったんですが、犬種を縛らず、さらにお正月ならではの要素を詰め込むことでより楽しくなりそう!と色々と想像しながら描いていくうちに、こんな感じになりました。

玩具のような明るい色使いでシンプルかつ、ワンちゃんたちが楽しくそこで遊びまわっている様子を1枚のイラストとして仕上げています。非常にシンプルな表現を目指したので、当初の反省点でもあるコメントはどこでも書けるくらい自由度がありますし、余白もバッチリです。

ちなみに、最初は右上の白い犬はいませんでした。
小さいワンちゃんたちを描いているうちに、「子どもみたいだな~」と親心のようなものが芽生えてきて、「見守り役を入れたらストーリー的にも面白い絵になるかも?」と急遽参加してもらいました。笑

1枚の年賀状でもこんなに考えている

ボツ案含めて提案内容をご覧いただきましたが、「たった1枚の年賀状イラスト」が仕上がるまでに、ボツになったイラストパターンは9案。さらに実制作に至らないまでも、下書きやラフの状態で個人的にボツにした内容も含めると、20案以上にもなります。

今回は店頭での販売ということも鑑みて、目立つように色味もかなり鮮やかにしていますが、使用用途によって「色・デザイン・ストーリー」など、様々な視点や角度で物事を考える必要があります。

ただイラストのデザインや構図を作るだけではなく、そこに至るまでの制作過程で考えるべきことはたくさんあります!
こうした考えるべきポイントをきっちりおさえた制作は、ぜひ常盤クニオにお任せください!